ネメシス
一昨日会食でした。「亀八」というとっても居酒屋な名前なのだけれども、かなりフレンチな感じな、でもやはり居酒屋でお食事でした。しかも!デザートもあるのです。
と、いうわけで感動です。幸せな気分でした。
秋の味覚特集なので、きのこや秋の味覚てんぷらなど。栗ご飯もありました。
昨日は寝て曜日になってしまいました。寝るために、昔から何度も読んでいるミス・マープルものを思い立って読んで、ついつい2冊読んでしまいました。17時間くらい寝ていたような気もしますが・・・・
"A Caribbean Mystery"「カリブ海の秘密」、"Nemesis" 「復讐の女神」。
本当は三部作にする予定が、クリスティーが亡くなってしまったので、この二部で終わってしまいました。「カリブ海の秘密」は普通のミステリーです。と言っても、ミス・マープルがサン・トノレに行っているというところが少し変わっていますが。ここで、マープルは大金持ちのラフィール氏と出会います。ラフィール氏は自由に身体を動かすことができないうえに、ミス・マープルはお年寄りです。そんな二人が殺人を防止し、犯人を捕まえるために協力し合います。
さて、「復讐の女神」、ネメシスです。カリブ海のあの事件から数年経って、ラフィール氏が亡くなります。そして驚くべき依頼をマープルにしていたのでした。ある犯罪に関する捜査をしてほしい、と。しかし、何も具体的な指示は無いのです。何かが盗まれたから探してくれでもなければ、誰かが死んだが、殺されたようだから犯人を捜してほしいということでもありません。ただ、あいまいな指示があるだけ。一体、ラフィール氏は何をマープルに調べて欲しいのか?
クリスティーはミステリーを書いていくうちに、誰かが殺されてそれを捜査するというよりも、殺人事件があったことすら分からない、その埋もれた殺人事件を発見し、その謎を解いていくというスタイルを作っていきます。タイトルをそのままに「スリーピング・マーダー」"Sleeping Murder"がその代表ですが、「復讐の女神」にもその傾向が見られます。死体が見つかって、その犯人を捜していくという形ではなく、過去にあった事件、もう犯人もつかまり解決されたと思われている事件を捜査する。何年も前の事件の記憶を結びつけて矛盾を見つけていくという、究極の安楽椅子探偵手法ともいえるでしょう。
マープルはラフィール氏が生前手配していたバスツアーに参加し、その中の人々と接触していくうちにある少女の死を知ります。そして、過去にとらわれている人々に出会い、解きほぐしを始めるのです。
ミス・マープルはお年寄りなので、いつもなんとなく他人からはちょっと軽くみられています。こんなお年寄りに何ができる?しかし、そう思われていることを承知したうえで、ミス・マープルは飄々と自分のペースを守りながら、論理的な考えで他人を圧倒するのでした。ちょっとコロンボにも通じるところがありますよね。それが痛快です。Nemesisとはなかなか大げさですが、これは「カリブ海の秘密」から続く、ラフィール氏とミス・マープルの合言葉なのでした。