« 携帯電話 | トップページ | 携帯復帰 »

2008年2月 4日 (月)

虹のヲルゴオル

 ハリウッド女優評論を評論してしまいましょう。橋本治「虹のヲルゴオル」。橋本治って面白い人ですよね。桃尻語で古典を訳したり。桃尻語って良くわからないのですが、察するにいまで言うギャル語ですね。今ならきっと「春は夜明けがチョーいけてる!白々あけていく山ぎわを見ているときゅんとなっちゃう、それがわからないのはKY」なんて、枕草子を訳すのかな?私がやるのでは今ひとつだな。まあ、それはそれとして。私が言いたいのは、橋本さんは彼自身が使っている言葉が発するイメージとは裏腹に、古典などに真剣に向き合っている気がします。

 というわけで、「虹のヲルゴオル」です。オードリー・ヘップバーンから始まってジャンヌ・モローまで、13人の女優を評論しています。最初がオードリーというのがオードリー好きとしては嬉しい。ちなみにこのブログの「オーリー」はオードリー・ヘップバーンから来ています。我が家に子猫のオーリーが来たのが1992年でした。あの年にオードリー・ヘップバーンは亡くなったのですよ。でも、いくらなんでも「オードリー」とするには無理があったので、オーリーになったのです。ってどうでもいいか。

 全部紹介するわけにはいかないですが、橋本さんのそれぞれの女優に対する評価は正しい気がします。オードリーは永遠の少女であるとか。オードリーの映画はたいてい少女とおじ様のロマンティックコメディだと。確かにそう。そしてラブロマンスを贅沢にやってみせるには少年と少女では駄目で、大人のおじ様でないと贅沢にできないとか。う~ん、なるほど。

 マリリン・モンローに関しては、「若草物語」に喩えるのです。「7年目の浮気」。この中で主人公のおじさんは出版社に勤めているのですが、Little Womenという本のカバーの女の子たちの服の襟ぐりをもっと下げろと、スケベな本の表紙な様に見せようとしているのです。でも、わかる人にはわかるのだけれど、Little Womenって「若草物語」なのです。そして、橋本さんは言います。マリリン・モンローってスケベな表紙をつけられてしまった「若草物語」なのだと・・・今見ると、マリリン・モンローって本当に可愛いのですよね。確かにあの胸とか腰とか見ていると、そこに目は行ってしまう。たいていの映画はいつもマリリン・モンローの胸や腰をことさらに強調している。でも、今の日本でマリリンが女優として出てきていたなら、女性にもとても人気が出たような気がします。

 結構、橋本さんの評論は正しいと思うのですが、ヴィヴィアン・リーのところだけ、ここに違和感あります。所詮そこは橋本さんは男なのだなと思いましたね。ヴィヴィアン・リーといえばもちろん「風ともに去りぬ」。そして、あの有名なローレンス・オリヴィエとの恋。さらに、劇的なスカーレット・オハラとしての登場。でも、それはヴィヴィアン個人のお話。(かなりドラマッティックな人ですよ。それは是非アン・エドワーズの「ヴィヴィアン・リー」をお読みください。あとさらに興味のある方は、同じくアン・エドワーズの「タラへの道」もお奨め。これはマーガレット・ミッチェルの話ですけれど。) 

 私が言いたいのは、橋本さん、違うよ!彼は、スカーレット・オハラとは、不幸になることでめでたく幕を閉じる、変わったヒロインだと言います。スカーレットが不幸になることで、見ている女性たちは安心するのだと。いえいえ、違います。そこはやはり男だね~~~、橋本さん。女性はそんなに甘くもないし、弱くもない。そんな見方でスカーレットをとらえません。「風とともに去りぬ」は南北戦争時代の南部アメリカが舞台。そう、ジョージアです。南部は北部に負け、考え方を変えていかないとならなかった激動の時代。スカーレットはその中で、南部の従来の常識からかけ離れた人として描かれるのです。生き残ることができるのは果たして誰なのか?決して、スカーレットは理想の人としては描かれません。けれど、世の中を変えていくきっかけとなるかもしれない、そして生き残ることができる人、それは女性であるけれど彼女だったのです。

ちなみに私の拙い「風とともに去りぬ」の書評でその主張はご覧くださいませ。http://homepage2.nifty.com/aurey/smac_g_016.htm

 と、ヴィヴィアン・リーのところだけがちょっと納得いきませんが、他はかなり感心しながら読むことができます。昔のハリウッド女優たちは、意外に皆結婚していて、女優をしているのですね。そして信念があって、そのためには何事も捨てることができる強さをもっていた。(マリリン・モンローだけが脆い人でしたが。だから、悲劇的なのですね。)今のハリウッド女優と1950年代頃のハリウッド女優を比べると、1950年代の女優のほうがよりゴージャスで雲の上の人のような気がします。もしかすると背負っているものが異なっていたのかもしれませんね。

 それにしても、エリザベス・テイラーの綺麗なこと!!!今のおばさんぶりからは想像もつきませんよ。性格的には「おばさん」だったのね、彼女は。だからだんだん綺麗ではなくなっていったんだなあ・・・でも、若いときは本当に綺麗です!!!

« 携帯電話 | トップページ | 携帯復帰 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事