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2008年4月21日 (月)

ハンニバル

 そう、ついにやってしまおうかなあ。塩野七生「ローマ人の物語」。これについて語ってしまう?結構大変よ~、これ。でも、やってしまおう。

 まずは「ハンニバル」の回について。

 実は、塩野さんには申し訳ないのですが、結構読みにくいのですよね、塩野さんの本って。やはり彼女は文学者ではないのですよね、きっと。歴史学者なのでしょう。ごめんなさい!塩野さん、面白いのですが、文章が時々迷走しているのです、そして時々、冗長なのです・・・でも、内容的にはとっても面白いから、こんな批評していますが、許して!しかも、私の親と同い年だから、許して(ってなんのこっちゃ)。そして、文庫本ばかりですが、かなり買い揃えたから、許してくださいませ。

 と、話がそれておりますが、「ハンニバル」の回です。紀元前3世紀、ローマ帝国は着々とその基礎を作り上げていたのですが、そこに立ちはだかったのがカルタゴでした。そして、その中でも卓越した発想と行動力を持つハンニバルだったのです。

 紀元前753年に誕生したといわれるローマ帝国ですが、初めての大ピンチを向えます。それは一人の男、ハンニバルが原因でした。おそらく自国のカルタゴからも正確には理解されなかったに違いない男、ハンニバル。彼が徹底的にローマ帝国を恐怖に陥れます。今までカルタゴとローマ帝国の戦いはシチリアをはさんで、直線距離での戦いでした。ところが、ハンニバルはスペインを渡り、ガリア(現在のフランス)を通り抜け、アルプス山脈越えをして、背後からローマに迫ったのです。ローマ帝国内で戦うなんてことの無かったローマです。初めて国内からひしひしと迫られるのでした。

 そして、カンネの会戦。イタリア半島の長靴のかかとの上あたりに位置し、ローマからもそう遠くないところにあるカンネ。ここでローマ帝国は大敗を喫します。7万ものローマ兵を失い、ローマ帝国の基礎であったローマ連合にひびを入れられるのです。あまりにも代償の大きい、ローマ連合からのカプアの離反でした。ハンニバルはわかっていたのです。ただローマを叩くだけではない、ローマ連合を解体させてこそ、ローマ帝国を倒すことだと。

 ただ、ハンニバルが勝てば勝つほど、そして守るべきものが増えれば増えるほど、逆にハンニバルは追い込まれるのであります。なぜなら、カルタゴにはハンニバルしかいないのです。ローマ帝国は元老院が機能していました。確かに、ハンニバルには敗退し続けましたが、二人の執政官を中心に政治を回す、戦闘の指揮官も元老院が選ぶというシステムは機能していたのです。そして、按察官の資格年齢に達していないスキピオが、按察官となり、さらには軍団の司令官にまでなってしまいます。このときの元老院はなかなかたいしたもので、司令官の資格年齢には15歳も足りないスキピオを司令官にするには、反対の声も多かったのですが、やりたいというのだからやらせようと決断するのです。(もしかすると、度重なる戦闘で本当に人材不足だったのかもしれませんが)

 スキピオもやはり卓越した人物でした。戦局が変わっていたせいもありますが、(ハンニバルの快進撃もいつまでも進むわけではなく、この頃には停滞感もあったのです)、ローマを戦場にするのではなく、カルタゴを戦場にしようと、すなわち攻めると。ハンニバルにされたのと同じことをしてやろうとするのです。

 それは成功しました。カルタゴの政府はパニックを起こします。そして、ハンニバルに帰国命令をだしたのでありました。ローマからあの忌まわしいハンニバルがいなくなるのでした。ローマにとってはなんと幸運なことであったか。

 ついに、スキピオとハンニバルの直接対決、カルタゴでのザマの会戦です。今までハンニバルは敵の主戦力の非戦力化、そして敵を包囲することで、ローマに勝ってきました。今度はそれをスキピオが巧妙に応用して、勝つのです。詳細は是非「ローマ人の物語5ハンニバル戦記」をお読みください。負けた結果、ハンニバルは敗将としても潔く、講和条件を飲むようにカルタゴ政府を説得するのでした。

 ハンニバルとスキピオの対比がなかなか面白いです。ハンニバルは孤高の男です。そしてたぶん、気難し屋の孤独な天才。スキピオは人懐っこく、けれども志の高い、賢い男なのでしょう。ザマの会戦のとき、ハンニバル45歳、スキピオ33歳。12歳の年の差のある二人の男の戦い。

 この戦いと講和の後はなんとなくむなしい物語が展開します。二人の天才の後は、凡才たちのつまらない政治的な駆け引きや、カルタゴの自滅が待っています。ただ、このつまらない政治的駆け引きが出てくるような元老院のあり方が、いよいよ次のカエサルを呼び起こすことになるのでしょう。

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