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2008年7月に作成された記事

2008年7月26日 (土)

グーグー

 小説とか評論とかって、自己満足であったり、自己陶酔ではないかなと思っている。ブログなんて完全にそう、自己満足以外の何物でもない。だからといって、あまりにも赤裸々に自分のことを書いても仕方がないのだろうなあ。時々、叫びたい時がある。最近、自分の馬鹿さ加減にあきれている、そして、自分の冷たさにあきれている。でも。こうやって自己憐憫に浸ったところで、何になるというのだろう?まあ、星でも眺めますかって、なんのこっちゃ。

 「グーグーだって猫である」 まんがです。そう、大島弓子のまんが・・・

 有名な漫画家ですよね、大島弓子って。「綿の国星」とか・・・ でも実は読んだことが無いのです。たぶん、私の小学校時代がストライクゾーンなはずなんだけどな。

 グーグーです。映画化されるみたいですね。小泉今日子主演で。そう、このまんが。エッセイまんがという感じなのです。そんなジャンルがあるのか知らないが・・・

 サバという猫が亡くなり、ペットロス的な状況だった大島さんが、ペットショップで小さな小さなアメショーと出会います。それがグーグーとの出会い。グーグーは大島さんを癒してくれます。「んるるる」となくグーグー。時折出てくるポール・ギャリコの「猫語の教科書」の声をださない「にゃお」。もう、たまりません。かわいい、可愛すぎる

 このエッセイコミックでは、小さな生き物から、常に大きな勘違いをしている人間という生き物が、救われる。いつもいつも小さな生き物から学ぶのです。

 大島さんはとても謙虚です。なんかいいなあと思います。大島さんは入院をしなくてはならなくなるのですが、近所のNさんに入院中の猫の世話をお願いします。そして万が一のときには、自分のマンションで猫の面倒を見て欲しい、マンションはあげます、と。なんと遺言状まで書いてしまいます。はやく「グーグーだって猫である2」が出ないかしら・・・

 そういえば、ドリームマッチの若手版をやっていた。やはり、いつものメンバーのと比べると、全然下手だったなあ。でも、次長課長やバナナマンが入っていると、面白い。若手といっても若手ではないんだなあ。設楽が良かったよ。

  

2008年7月21日 (月)

Winter and Night

  織田裕二の月9ドラマやっていますね~ 山本高広の織田裕二を見すぎたせいかな?何か織田裕二のイメージが違う。こんな顔だったけ?どうも、顔が違うような気がしてしまう。山本高広のせいだ、きっと。

 さて、S.J.Rosan”Winter and Night” 「冬、そして夜」 ビル・スミスとリディア・チンの私立探偵が1作ことに主人公を交代する、ハードボイルド。ようやく日本語版が出ました。時々、向上心に燃えることがあるんですよ。そして、ミステリを原書で読んでみようとするのです。もちろん、英語だけですけど。フランス語とかスウェーデン語は読めないので。で、3年前にRosanの”Winter and Night”を買って半年以上かけて読んだのですよね。もうね、やはり集中して読めないのです。ついつい日本語の別の本に逃避したりなんかして、浮気を散々しながら、日に1~2ページくらいずつでようやく。翻訳本の出ていない原書を選んで正解でした。

 それが、つい先日日本語版がでていたのですね。ついつい復習のために買ってしまいました。そして、意外だったのが、おお、割とストーリー理解できてたのね~~ 辞書なんか引きながら読んでいたら面倒くさくて仕方が無いので、わからない単語があってもまあいいやとすっ飛ばして読んでいたのですが、あら、意外にわかっていたのね。自画自賛モードに入ってしまいました。もちろん、翻訳しろって言ったらそれは無理だけど。

 今回はビルが語り手となる話。突然、ニューヨークの警察にビルが呼び出され、甥を保護することとなります。けれど、甥はやることがあると、ビルのもとからも逃げてしまいます。何があったのか?今ひとつ関係のよくないビルの妹夫婦、彼らが住むワレンズタウン。ワレンズタウンは高校アメフトを軸にして動く町です。そしてそこに問題があるのでした。

 ロス・マクドナルドの「さむけ」でもそうなのですが、意外にアメリカの町は閉鎖的というか、町全体が間違った方向に行ってしまう傾向があるのでしょうか?そんな描かれ方がされることがあります。「冬そして夜」は2002年の作品です。決して古い話ではなく、ましてやあのコロンバイン高校での銃撃事件に影響を受けているらしいのですね。

 マイケル・ムーアの「ボーリング フォー コロンバイン」でも有名ですが、マイケル・ムーアは銃社会の問題点をテーマとしていましたが、実はアメフト部からいじめを受けていた高校生たちが、銃乱射事件を起こしたのですね。いじめとそれを助長するコミュニティ、実はそんな問題を抱えていたらしいのです。(以上 創元推理文庫 山崎まどか解説より)

 マイノリティとマジョリティ。それは人種や社会的な組織だけではないのですね。メジャーな組織に所属していること。それが何よりも大切。そしてその組織を守るためには何でもする。たとえそれが決して正しいと言えないことであっても・・・・

 ”Winter and Night”の終わり方はなんとなく釈然としない終わり方をします。ただ、それが現実なのかもしれません。中年探偵のビルにはもう見えすぎてしまうけれども、若い高校生記者のステイシーに救いがあるのかもしれません。(ところで、中年って何歳から何歳なのかなあ・・・・ちょっと気になるなあ)

2008年7月13日 (日)

椿山課長

 岐阜城に行ってみました。斎藤道三、織田信長の居城です。復元だったから、中は全然現代の建物。どうせなら木で全部復元して欲しかったなあ。お金かかるんだろうね。でも、上から濃尾平野を見渡す風景には感慨深いものがありました。今はビルとかコンクリートの建物やスタジアムが見えるけれど、500年位前は見渡す限り平原で、長屋とかがぱらぱらとあったくらいなんだろうなあと。重ね合わせて見ようとしたけれど、なかなかうまくいかなかった。知らないからなあ、当時の風景。そして山の緑に思わず吸い込まれそうになるのだった。

 さて、浅田次郎の「椿山課長の七日間」。飛行機で読もうと思って、空港の本屋で買ったのです。前にもタイトルだけ見て面白そうだなと。

 椿山課長は40代で急逝します。気がつくと、役所みたいなところへ向かって歩いているんですね。なんと、そこは死者を極楽浄土へ送り込むためのお役所。立派な人生を歩んだと判定された人は、講習免除でエスカレータで極楽へ。そうではないほとんどの人は講習を受け、「反省ボタン」を押して、極楽へ行くのです。

 椿山課長は「邪淫の罪」で、講習を受けるよう言われます。「そんなばかな」、椿山課長は納得できません。そんな罪に問われるような覚えがないのです。そして、特別な理由が認められた場合にだけ許される逆送。七日間だけ現世へ戻ることとなります。生きていたときとは全然異なる姿で。

 たまたま出会った間違って殺されたやくざの親分と、小学生で車にはねられてしまった蓮と、この3人が逆送を許され、現世にもどり、それぞれの目的を果たす。

 はっきり言って、椿山課長って駄目駄目くんなのですよね。いいえ、仕事はできるというか頑張っていました。でもやくざの親分と蓮に比べると、超小市民。他人の気持ちが実はわかっていない。まあ「鈍い」ってやつですね。

 蓮はすごいです。とってもできる子。この子には泣かされます。浅田次郎に乗せられている。。。ああ、だめだ、作者の術中にはまっていると、わかっていながら、涙が出てしまいました。飛行機の中で。どうしよう。涙をなんとかこらえようと思ったら、流れてきてしまって、あわててハンカチを取り出し、でも結構面白いので止められず、読み続けていると、ますます泣けてくる。鼻水は出てくるし、私は周りにどう思われているのかしら?と思いつつ、読んでしまいました。

 この際だから仕方が無いです。作者に踊らされましょう。心が洗われること請け合いです。

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