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2008年10月11日 (土)

ピーター・ラヴゼイ

 ピーター・ラヴゼイ(Peter Lovesey)の最新作「漂う殺人鬼」”The House Sitter”が出ていました。もちろん、購入して一気読みです。解説を読んでびっくりしたのが、もうピーター・ラヴゼイって72歳なのですね。なのに、この面白さ、この長さ(文庫本600ページ)!!でもなあ、今年の春には、R.D.ウィングフィールドは亡くなっているし、ピーター・ラヴゼイまで72歳なのでは・・・残念ながら、フロスト警部に続き、ダイアモンド警視にも会えなくなる日も近いのかしら?

 さて、前作「最後の声」”Diamond Dust”で、最愛の妻ステファニーを殺されてしまったダイアモンド警視。今度は連続殺人鬼、しかも予告殺人鬼との対決です。コンピュータや官僚主義を徹底的に排除するダイアモンド警視が、今回はプロファイラーとか、ITを職業とする人間たちと渡り合うわけです。ステフを失った悲しみをまだ抱えながら、でも相変わらずのダイアモンド流。そして何故か、ダイアモンド警視は女性陣とうまくやれるのですよね。今回も女性警部とのコンビぶりや、守らなければならない女性歌手とのやり取りが結構楽しい。でも、上司である女性の副本部長とは全然合いませんが。前作でも最悪な関係だしね。

 しかし、ピーター・ラヴゼイは、ダイアモンド警視を追い詰めるんだよなあ。まず、初登場でいきなり警察を辞めざるをえなくなります。次では、民間人の状態で誘拐された日本人の女の子を捜す。その次は、民間人の状態なのに、以前自分が殺人犯人として逮捕した男が脱獄し、自分は無実だから再度事件を調べるように追い詰められる。。。そして終いには、妻が殺される。このむちゃくちゃ優秀だけれど、官僚主義や組織に流されることを潔しとしない警視は、自分の感情も露骨に出すし、本音ずばずば言う決して付き合いやすい人ではありません。むしろ敵は多い。そんなダイアモンド警視の最大の理解者であるステファニー、彼女を死なせてしまうとは。ラヴゼイもずいぶんなことをするものです。

 でも、私は好きなんだよなあ、ダイアモンド警視。超不器用で現場主義。理屈や理想論ではなく、まっしぐらに本質に突き進んでいく人。厳しいこというけどね。それはそれだけ真剣に考えているから。こういう人は出世はしないし、出世したいとも思っていない。現場と家族があれば・・・

 なのに、ラヴゼイさん、そんなに追い詰めちゃうわけ?ピーター・ダイアモンドを。まあ、でも今回の「漂う殺人鬼」では、最後には命を救われた女性歌手から、「英雄だわ!」って言われるから、いいことにしましょうか。だけど、この女性歌手、結構、年行っていますけどね。しかも、超濃いキャラです。

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