ちょっとタイミングを外してしまいましたが、オバマ氏に決まりましたね。次の合衆国大統領。少しホッとしました。アメリカも「普通」を求めていたのねと。地に足をつけようと思ったのねと。
強いアメリカを目指すのもいいのだけれど、何か無理があるのよね~~何かが見えていない。本当に大切なものは何?アメリカンドリームもいいのだけれど、だってね、リーマン・ブラザースのCEOの年収が40億円?え~っ?14年で510億円?何、それ、だって使いきれないでしょ。しかも、会社つぶれちゃった、なんやねん、それ!
そう、時々何かの判決で懲役120年とかいう判決が下される。う~ん、それって無期懲役でいいじゃん。何か現実的じゃないのよね。なんとなく、本気度が薄れる気がする。
だから、安心しました。オバマ氏は、結構現実感があるような気がするので。彼は今のアメリカの象徴かもしれない。父はケニア人、母は白人。人種としては混ざっていて、しかもアメリカ本土ではなく、ハワイ生まれ。実力でカリフォルニアの私立大学からコロンビア大学に編入し、ハーバードロースクールまで行く。
もはや黒人を差別している場合ではない。実際問題として、アメリカのスポーツ界で活躍しているのは、黒人ばかり。有名人だって、政界だって、黒人だけではなく、様々な人種が活躍しているのが実態。アメリカっていうのは、白人だけでは成り立たないのです。
でも、結局は西海岸、東海岸の人たちが世の中見えているから、この結果だったのだろうけれどね。アメリカの中央に位置する中西部とか南部とかはやはり、世界が見えていないし、自分たちを客観視できない。それは仕方がないのかもしれない。
さてさて、前置きが長くなりました。
「大正時代の身の上相談」
大正3年(1914年)~大正11年(1922年)に読売新聞に掲載された身の上相談。回答者は読売新聞記者。
何とね、すごいのです。大正時代なのだけれど、今の時代に共通する悩みが既に出ている。たとえば、「何に向いているかわからない」なんて相談。貧困で義務教育を受けられず、苦学をしてきた、学問をしていれば、20歳くらいで自分の性質や社会がわかると思っていたのに、いまだ見えない。という相談。
おや、これって現代の若者にも共通するのでは?もっとも、「苦学」ではないけれどね。ただ大学を出れば、何かが見えると思っていないのに、何で見えないの?
記者は回答します。10年や20年では天才でない限り、自分の本当の姿は見えない。・・・・だから、何をしようかではなく、何でもしてみることです。そこに自分の長所短所が見えてきます。
この時代の記者は非常に鋭いし、まじめです。甘い人間には手厳しく、まじめな人には優しい。
厳しい回答例は超痛快です。
自分とは不釣合いな資産の家から妻をもらったものの、何かと動作がとろくて、自分の両親とあわないので、離婚。ところが、その別れた妻が次の結婚話がいやで、自分のところに逃げ来たので、ついついよりを戻し、今は元妻が妊娠中。ただ、親が反対しているし、どうしたらいい?なんて相談です。
記者の回答はこれです。「これはあなたが悪い。不釣合いだと知りながらこんなことをしておき、この質問は何のことです。・・・・・・父母に背いてでも子どもに責任をもちなさい・・」さすがです、記者様。
そして、本当に今の時代の相談でもおかしくないのが、職業婦人の相談です。
30歳を過ぎている女性だが、女医として成功している、しかし、時々人としての幸福、しかも婦人としての幸福からは程遠いと感じる、そしてたまらなく憂鬱で、しかも焦燥感にかられてしまう。
記者は答えます。
人生はひとつのことに成功したからそれですべてではない、次に向かって向上しないとならない、おそらく次が見つかっていないのでは?そしてまた、独身婦人だからという哀しみであれば、すべてを捨てて「結婚」しても良いのですよという優しいメッセージ。さらに秀逸なのは、「あなたは婦人の一大転機に遭遇している代表的婦人である。少なくとも、来るべき日本婦人の犠牲としていま少し心持を緊張させていただきたい、あなたのような深い人生観の人にはそれができるはずだ」という深~いお言葉でした。