さてさて、前回からの続きです。
適合の連絡を受けてから、「どうしよう?」と正直言って悩んだが、でも登録しておいて連絡きたのに、何もしないのも変だなと思って、結局決断した。手術の日も決まり、さて検査と自己血だということになった。
今回の私の担当コーディネーターの方からすると想像できないくらいに、私の仕事は忙しいらしかった。いちいち「大変ですね~」と言われることからして、だんだん鬱陶しくなり「ほっとけ!」と思った。そして、移植をする病院はたいていが大きな病院のため、検査の日や医師との面談は指定された限られた日となるが、たいてい私も予定が入っていた。指定された日を告げられるたびに「ああ、その日は予定が入っていますね」と言うと、コーディネーターさんは「あら、どうしましょう」。どうしましょうじゃないだろう。どうにかするしかないんでしょう?で、いくつか候補日をもらって、いろいろと調整した。本人の性格だから仕方がないのだろうけれど、だんだん私も苛立ちを隠せなく、結構きつい言葉を投げてしまっていた。申し訳なかったが、でもその「どうしましょう?」というあなた任せな感じが、とてもビジネスライクではなく、どうしてもイライラしてしまったのだ。
採血する量もドナー本人の体重に依存する。もちろん、ドナーを選択する時に、患者さんが必要とする量とドナーの体重を考慮して選んでいる。私は750CCとられるということだった。そのため、自己血をあらかじめとっておいて、それを自分自身に輸血し、750CC取られても、貧血などおこさないようにということだ。私は200CCずつ2回に分けて自己血をとる予定だった。ところが・・・・
何故そんな話になったかは覚えていない。病気で薬を飲む場合は、ちゃんと報告しないとならなかった。でも、ビタミン剤は不要だよなあと、私は思っていた。現に市販薬は飲んでも良いと言われていた。私は時折肩こりと腰痛がひどくなるので、ビタミン剤を飲む(アリナミンなんとかとか、ナボリンなんとかとかね)ことがある。で、この時もちょっとひどくなったので飲みだした。コーディネーターにはそんな話をするつもりは全然なかったのだが、何かの拍子で話をしてしまった。しまったと思ったが、もう遅かった。肩こりで指がしびれることもあるとまで言ってしまった・・・それが大間違い。「しびれる」が一人歩きした。
「今回は中止にするという通知がきました」といわれた瞬間、耳を疑った。えっ?何で、だって、そんなことしたら患者さん死んでしまうのでは??要は、「しびれる」という状況がある場合、骨髄移植で悪化するかもというので、地区の取りまとめの医師が中止の判断をしたというのだ。ええ~っ!だって、「肩こり」が原因だってわかっているんだから、関係ないじゃん。ちょうど、その日は自己血を採りに病院にいく日だったので、担当のお医者さんと相談をした。お医者さんがわかってくれて、伝言ゲームでたぶん大げさな話となったのでしょうと。私からその医師に説明をしますよと。ただし、その日の自己血採血はなし。その後誤解は解け、予定通り実施することとなった。ただ、自己血を2回取る予定が1回となってしまったので、一度に300ccまでなら私の体重でも採ってよいと、それでなんとかなるという判断がなされた。
そして、3泊4日の入院となった。入院2日目が手術日。私は健康体なので歩いて手術室に行った。うわあ、はじめての手術室だあ。。。朝9時からの予定されている手術なので、なんとなくバスの待合室のような雰囲気で、手術を受ける人たちとその家族の人たちが雑然といた。あまり緊迫感もなかった。その間を抜け、スタスタ歩いて、並んでいる手術室の1つに入り、ベッドに横になった。見上げるとよくドラマで見るあの丸が並んだ照明。「おおっ」とドキドキしている間にテキパキと準備が進められ、麻酔をうたれたと思ったら、「終わりましたよ」と、言われて目が覚めた。
9時から始まり、11時30分くらいかな。わけわからずボーッとしたままストレッチャーで病室まで運ばれた。ストレッチャーで運ばれている間、酔いそうだった。全身麻酔がなかなか抜けず、ずっとボーッとしていた。昼頃、コーディネーターさんが来てくれていたが、とても起き上がれる状態ではなかった。血圧が上が79で下が36なんて状態がこの日の午後から翌日まで続いた。なんだ、その血圧は?見たことないぞ。おかげさまで食欲はないわ、寝たきりだわだった。翌々日には良くなったが、その日は退院の日。親が迎えに来てくれて車で帰ったが、車でも酔いそうだった。そのまま2日間寝たきりモードで、3日後から出社した。
傷はそれほど痛くもなかった。ただ、仰向けに寝るのはちょっとつらいので、1週間は横向きに寝ていた。そして、2週間くらいは本調子ではなかったかな。ちょっと疲れやすかった気がする。でもその後は全然問題なし。もう2回目はいいやと直後は思ったが、今では2回目に適合連絡が来ても、受けようと思っている。
しかし、その半年後くらいにまた連絡が来た。DLIをお願いしたいというものだった。リンパ球を輸血するというもので、おそらく患者さんの容態がよくないということである。それもうけることとし、またまた別の病院に行った。それは成分献血みたいなもので、片方の腕から採血しリンパ球を取って、残りの血液をまたもう片方の腕から戻すというもの。それも2時間くらいかかった。その間動けないので、ベッドに横になりながら、テレビを見ていた。そして、この時はどうみても30代前半の検査技師のイケメンな男子たちが、私の面倒を見てくれた!!これは気分が良かった!!侮れないよ!検査技師。世間の女性陣、要注目です。
そんなこんなな骨髄移植体験記ですが、言いたいのは、登録者数が減っているという話があるが、まず登録を受け付ける時に、もう少しちゃんと話を聞いてはどうですか?っていうこと。だって、ひやかしかどうかなんて、会話をすればわかることだし。あとは、誰のための「骨髄移植」なのかなって。財団が訴えられないように、安全に安全にって行き過ぎているような気もします。コーディネーターさんも保守的だし、どういう教育しているのかなって?また、皆、忙しいのですよ。大病院でないとできないのもわかるけれど、「検査」はどこか検査センターってないのですかね?そこで毎日受け入れられれば、もっと気楽に検査にもいける。お金のかかる問題もあるだろうけれど、工夫次第というものもある気がします。