日暮し
またまた宮部みゆきさんです。前作「ぼんくら」 八丁堀同心の井筒平四郎を主人公とした、江戸時代を舞台としたミステリーの続きです 「日暮し」
平四郎は決してぼんくらではない。言ってみれば、野心家ではないというだけ。別に出世しようとも思っていないし、かといって金持ちになろうとも思っていない。普通に、平々凡々とした生活をおくれれば良い、そしてだらだら過ごせれば良い。平四郎が望んでいるのはそれ。ただ、逆にその野心の無さが、物事を見る目研ぎ澄ませる効果があるのではないか。世の中の本流にいると見えなくなることがある。「お金」は見えるかもしれない、成功もするだろうし、人を使うことに長けてくるかもしれない。だが、たぶん、市井の人の生活そのものや、人の心、そして人を幸せにするのに必要なことが見えなくなるのではないか。本当に必要なことを知ること、人の心をつかむことができるようになるには、本流からちょっと離れたところ、完全なアウトローではなく、微妙に本流から離れたところにいるのが良い、きっとそんな気がする。そこに、井筒平四郎はいるのではないか?
前置きが長いなあ。。。
とはいえ、ミステリーなので、内容をきっちりと紹介はできないのだけどね。
「日暮し」は、「ぼんくら」の続きっていうか、後日談。鉄瓶長屋にまつわる人々のその後。もちろん、超美形の美少年、甥の弓之助も出てくるし、おでこももちろん。元鉄瓶長屋の差配人、久兵衛も登場します。「ぼんくら」話もできないからなあ。。。歯がゆいなあ。なんとなく思うのは、結局、普通に真面目に生きている人が幸せなんだなあと。鉄瓶長屋で煮売り屋をしていたお徳さんとかね。
宮部みゆきは怖いと思っていたのですよ。だから、避けていたのだ。ただ、優しい話も書くんだなあと、あまり怖くなさそうなものだけ選んで読んでいる。ただ、人物を描写に時々その怖さがでる。「日暮し」の中でも、孫八は怖い人物である。現代でいうストーカーだが、かなり怖い。おふじも怖いって言ったら、怖いかなあ・・・
でも、このシリーズは好きだったので、終わってしまうのは寂しいなあ。大きくなって平四郎の養子になり、跡継ぎとして同心になった弓之助を主人公とした話でも書いてくれないかしら?おでことコンビでね。
宮部さん、よろしくです