早いよ、はやい!泣くのは早いだろう。ようやくファーストステージ勝ってファイナルに行っただけだよ。これからレギュラーシーズン13.5ゲーム差つけられ、独走で優勝したソフトバンクに4勝しないとならないんだよ!しかもホームアドバンテージないんだからね。
とはいえ、一昨日、9回1アウトと2連敗でまさかの1stステージ敗退か?まで追い込まれてからの逆転だから、まあ泣くのも仕方がないのかもしれないけどね。でも、シビアな現実に向き合わなきゃだめよ。
さて、何の話かというと、プロ野球クライマックスシリーズ1stステージの日ハムーロッテ戦の話。
ロッテOB里崎チャンネルで、レギュラーシーズン通りの采配をした吉井監督と、短期決戦の戦い方をした新庄監督の比較をして、レギュラーシーズン3位なんだから、シーズン通りの采配では負けるでしょう!と、結果を受けて一刀両断していた・・・里崎さんは保守的というよりは革新的な考え方というか、情になびかない極めて論理的な考え方をする人だから、どちらかというと新庄さんの考え方に近いほうなんでしょうね。年齢も48歳と、吉井さんは59歳、新庄さんは52歳だから新庄さんに近いしね。
とはいえ、素人の私の意見なんてどうでもいいんだろうけれども、天才でも秀才でもないごく普通の一般人が仕事におけるプロジェクトとか、なにかのイベントに際して重視するのは「平常心」だと思うんだ。そうすると、できるだけ変わったことをせずに、部下や仲間たちにプレッシャーをかけないように、いつも通りの采配が良いと思ってしまう。それが吉井監督だったのかもしれない。それでも、第1戦の先発には大方の人が予想した小島ではなく佐々木朗希を持ってきた。ここで勝って、若い選手が多い日ハムにプレッシャーを!という考えだったのでしょう。これは当たった。今年は160㎞台のストレートをバンバン投げれずに苦労していた佐々木朗希であるが、スライダー、フォークとうまく組み合わせて、最速158㎞のストレート含めて8回112球9奪三振無失点で、日ハム打線を抑えた。今年の朗希の場合は初回に制球難で四球を出しがちであるが、そこを日ハムは攻めきれず、2回以降すぐに立ち直った朗希の投球にはまってしまい、完封負け。
そして第2戦はエース小島の登場。ここでも6回まで無失点。日ハムの先発金村も好投していたが、前日の加藤と同様5回と7回にソロホームランを浴び2-0とされていた。小島は7回に四球を2つだし、ここで若い横山陸人に交代するが、暴投で走者2-3塁となり、内野ゴロで1点を返されてしまう。
この後からが新庄采配。前日から山崎福也をブルペンに入れると予告していた。手の内さらすなんてバカじゃないの?というネットの声もあったが、これがズバリ的中。もともとロッテ戦では打たれておらず低い防御率を誇る福也が8回、9回を完璧に抑えた。そして迎えた9回裏。ロッテはクローザー益田が上がる。レイエスを三振にとるも、次の打者の万波が初球を完璧にとらえ、同点ホームラン!!これで流れが一気に日ハムに傾くが、益田はその後は抑え延長戦に突入。そして、驚いたのは10回表も福也がそのまま登板。しかも3者凡退に切って取った。10回裏は日ハムには今シーズン点を取られていない澤村。簡単に2アウトを取るが、次の打者松本に四球を与え、続く清宮がヒットで1-3塁。次の淺間は初球を見逃し悔しがるも、2球目のボール球をなんとライト前へサヨナラタイムリーで、日ハムが1勝1敗とタイに戻した。(ちなみに10回裏2アウトの段階でも、福也は次行く準備をしていた・・・)
ここでもなぜに益田?というロッテファンたちの声もあった。でも、通常通りの吉井采配では益田なのでしょう。劇場型といわれながらもリーグ3位の25セーブをあげ、ロッテのクローザーといえばやはり益田。ここ1番でのベテランの力を信じたいのはよ~くわかる。私も吉井さんと同い年だもの・・・10回に澤村も出すでしょう。だって、今シーズン点とられていないのだもの・・・パワーピッチャーは四球だす傾向があるけれども、点とられていないもん。2アウトまで行ったもの。だが、四球をもぎ取った松本剛と、うまく打った清宮と、ボール球をヒットにした淺間に脱帽するしかない。
さて運命の3戦目。ロッテの先発は種市、日ハムは北山。種市は今シーズン日ハムには分が悪い。しかし、粘り強いピッチングを披露する。一方北山はボール先行のピッチングで球が浮きがち。2回に満塁のピンチを迎え2点を失った。昨日のサヨナラの勢いでいけるか?と思ったが、日ハムは先制されてしまった。しかし、3回にヒットと四球で1-2塁(また松本剛が四球を選んだ、これは中堅の力か)さらにパスボールで2-3塁とし、2アウトから清宮が同点となる2点タイムリーで追いつく。その後は小康状態が続くが、やはり北山は安定せず、5回2アウトで角中に四球を出したところで、日ハムはなんとクローザーのはずの田中正義を登板させる。これは驚きの采配だった。ブルペンにいる田中の姿はすでに確認されていたが、解説者もまさかの登板。そして、今までにない人を殺さんばかりに眼光の鋭い田中正義。4番ソトを3球三振でこの回チェンジ。しかも、6回、7回1/3まで投げた。この選択をする新庄監督も新庄監督だが、これに応えた田中正義もすごい。明らかに表情がシーズン中とは全然違い、球威も十分。スライダーも切れていた。
そして、7回裏にゲームが動く。種市が先頭打者四球、続く打者のバント処理を2塁へ送球し、フィルダースチョイスでオールセーフ。ところが次の上川畑が送りバント失敗し、2-5-1のダブルプレー。これでこの回は終わったかと思ったら、田宮へ四球。そして水野がタイムリー3塁打で4-2と逆転する。何故種市を変えなかった?なぜ、鈴木昭汰がベンチにいない?と、これまた里崎さんの突っ込み。とはいえ、3連投させないというチーム方針らしいので、それは仕方がないとも言っていた。しかも、種市が2点取られたけれども、いいピッチングしていたからね。昨日の小島といい、種市といい、良かったから、投手交代した方が悪い結果になりかねないという心配もあったのかもしれない。
結局、8回にさらに1点追加した日ハムが逆転勝利し、ファイナルステージ進出を決めた。明らかに、日ハムの打者陣は浮足だっていた。盗塁は失敗するわ、バントは失敗するわ、レギュラーシーズン通りの戦い方は全くできていなかった。初戦はとくにそう。やはりベテランも多く、日本NO.1投手といってもいい佐々木朗希を切り札として使ったロッテは、落ち着いた戦い方ができていた。
しかし、山崎福也と田中正義を実にインパクトのある使い方をした新庄監督の采配、これが功を奏した。シーズン序盤の日ハムは完璧に投手力で勝っていたといってもよいでしょう。交流戦あたりからリリーフ陣が打たれだし、一度は5位まで落ちたが、レイエスと清宮のおかげで2位に浮上した日ハム。短期決戦ではその投手陣の力から、打者陣の奮起を促したといっても良い。2戦目の万波の1発は、昨年覚醒した力がここで生きたということでしょう。さらに清宮は本当に覚醒したのかもしれない。そして今年の序盤のキーマンであった水野と田宮。この二人の力も無視できない。伏見が昨日の練習中に顔面に打球があたり鼻骨骨折し、自分しかいないという状況で、今までにない登板順の投手の投球を良く受けた。水野も2割2分という打率ながら、なぜか試合終盤のここぞというときに長打を打つという特徴をよく出した。
と、いうわけで、こういうやり方もあるんだなあ・・・と。この3連戦ではどちらの投手も良かった。まあ、それぞれソロホームランを打たれたりはしていたけれど、ロースコアの試合。結局、打線は水物ってことなのかな。それを投手の力から、試合の流れをもってくるという作戦。ロッテと日ハムはチーム打率は少しロッテが良くて、チーム防御率は少し日ハムが良い、エラーの数もほぼ変わらず。大きな差はホームラン数だが、この短期決戦ではロッテの方がホームラン数が多かった。ちなみに被本塁打数は日ハムがリーグ最悪に多い。盗塁数も日ハムが多いが、CSでは失敗が目立った。あとはホームアドバンテージかな。2戦目の7回から日ハム応援団、闘将会が通称「やけくそチャンテ」を始めた。チャンスではないのに、チャンステーマを演奏し歌い続ける。ビジター応援席以外はほぼ日ハムファンで埋め尽くされたエスコンフィールド全体に、このチャンテが響き、たぶん、後押ししたんでしょう。3戦目も7回以降同様に行われた。しかも、ロッテ応援団特有の牽制ブーイングを、拍手でかき消してしまうという技まで繰り出された。
先発要員である山崎福也をリリーフ登板させることは他の監督でもあり得るとして、クローザー田中正義の中盤でのリリーフ、しかも回跨ぎはやる人はそうそういないでしょうね。そして、河野、池田とつないでクローザーいないけど、どうするのかな?もしかしたら宮西かなと思ったら、案の定でした。ここで、ベテラン宮西起用は、論理だけではない情にも訴える新庄采配ですな。いや、単にファンサービス、この方が盛り上がるでしょうということかもしれない。8回に1点追加していたのが大きかった。
日ハムの選手たちが、ミレニアムズを始めとして若いということが、新庄采配につながったのかもしれない。万波、田宮、水野、水谷は24歳、清宮でも25歳。郡司27歳、淺間28歳、松本が31歳。野手陣で最年長は伏見の34歳と中島卓也の33歳?投手陣は加藤と福也が32歳、田中正義が30歳、最年長は宮西の39歳。金村は24歳だし、北山は25歳。しかも、レギュラーに近い形で1年通して活躍している野手は松本、万波くらい・・・そういう意味では投手陣の方が落ち着いて投げれたとはいえるかもしれない。福也はオリックスでCS経験はないにしても日本シリーズ経験はあるし。浮足立ってしまう経験の浅い若い子たちを乗せるには、大胆な作戦が必要なのかも・・・そして、割と単純に乗ってしまうとかね。
逆にベテランの多いロッテの方が、奇をてらったことはやりにくかったのかもしれない。この辺は何とも言えないけどね。ただ、ロッテは怖かったよ。だって、シーズン中ホームラン0の安田がホームラン打つとか、そんなに打率の良くない中村奨吾、ベテランの角中にもホームラン打たれたし、いずれもソロホームランだったのが幸いだったけれども。
とにかく、ハラハラドキドキした面白いCS1stシリーズでした。できれば、明日からのファイナルも良い試合を見たい。で、下剋上してほしい!